14.
飛来してくる刃を、リュウカは紙一重でかわしていく。
しかし全てをかわしきれず、リュウカの肩や頬を刃がかすめていった。
「やるねえ……」
クロガネがそう呟くと、刃が消えクロガネは不適な笑みを浮かべた。
「休戦しようか? 痛いでしょ、体」
「……うるせえ」
「ああ、そう……じゃ、これは?」
クロガネは人差し指をクイと曲げる。
刹那、リュウカは背後に気配を感じて振り返るが背中に何かが突き刺さる感覚を覚えた。見てみると、リュウカの背中には先ほどクロガネが出現させた刃が突き刺さっていた。
リュウカはその場に膝をついて倒れ込む。
激痛と大量の血が流れて、意識が朦朧とするなかリュウカはすぐそばまでクロガネが近づいて来るのを感じた。
「まだ死なないでよね? 面白いの見せてあげるからさ」
その言葉を聞いて、リュウカの意識は途切れた。
*
「先生、リュウカさん知りませんか?」
翌朝、情報局を訪れたレイがソウに尋ねた。ソウは表情を曇らせてレイから顔を背け、首を横に振った。
「あれ、リュウカは?」
そこにケイゴがやって来て、情報局の中を見回しながらレイの方へ歩いてくる。
「いないみたい」
「何で?」
「さあ。先生も知らないって」
「じゃ、今日は仕事なしか! やりーい!」
「何言ってんの。特訓するわよ」
「えー」
そう話しながら情報局を出て行こうとしている2人を見て、ソウは安堵の表情を見せた。
リュウカがいない理由を聞かれたら、口止めされていたことを話しかねないからだ。
それにしても、リュウカの帰還が遅い。リュウカがここを発ってから12時間が経とうとしている。
何かあったのではないかと、ソウは気が気でなかった。
その時、情報局の中にサイレンが鳴り響き起動していたパソコンやモニターの画面が一瞬にして砂嵐になった。
「どうした?!」
「原因不明です!」
「くそっ……一体何なんだ!」
原因不明の事態に情報局が混乱に陥る中、突然今まで砂嵐だった画面全てに銀髪の男の姿が映し出された。