涙が出そうになるのをごまかす様に、
あたしはテーブルの上の年賀状に手を伸ばした。
『あっ、聖人から来てる。
去年は来なかったのに。』
――あけましておめでとさん。
モチ食い過ぎてハラこわすなよ。
今年もよろしく!!――
ぷぷっ。汚い字。
『聖人君から年賀状届いてよかったわね。』
母は、にこにこしながらあたしの顔を見る。
『今年は年賀状ちょうだいねって言ってたの。
あは‥‥本当に書いてくれたんだ‥‥。』
嬉しかった。
聖人ってば、年賀状なんて書くガラじゃないから出さないって言ってたから。
『奈央。あとでお母さんと二人で、神社におみくじ引きに行こうか。』
『えぇ〜。お母さんと初詣ェ〜?』
本当は嬉しいんだ。
母と一緒に過ごせるお正月は大好きなんだ。
あたし、
早く大人になって、
お母さんを楽させてあげたい。
ずっと、
大人にはなりたくないって思ってたケド、
近頃、
大人になるというコトが、
そんなに悪くはないんじゃないかって、
なんとなくだケド、
思えるようになってきたんだ。