奈央と出会えたから。<432>

麻呂 2011-06-26投稿
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涙が出そうになるのをごまかす様に、


あたしはテーブルの上の年賀状に手を伸ばした。



『あっ、聖人から来てる。

去年は来なかったのに。』



――あけましておめでとさん。

モチ食い過ぎてハラこわすなよ。

今年もよろしく!!――



ぷぷっ。汚い字。



『聖人君から年賀状届いてよかったわね。』


母は、にこにこしながらあたしの顔を見る。



『今年は年賀状ちょうだいねって言ってたの。

あは‥‥本当に書いてくれたんだ‥‥。』



嬉しかった。



聖人ってば、年賀状なんて書くガラじゃないから出さないって言ってたから。



『奈央。あとでお母さんと二人で、神社におみくじ引きに行こうか。』



『えぇ〜。お母さんと初詣ェ〜?』



本当は嬉しいんだ。



母と一緒に過ごせるお正月は大好きなんだ。



あたし、



早く大人になって、



お母さんを楽させてあげたい。



ずっと、



大人にはなりたくないって思ってたケド、



近頃、



大人になるというコトが、



そんなに悪くはないんじゃないかって、



なんとなくだケド、



思えるようになってきたんだ。



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