アキはそう思っていた。しかしカズヒロは、
「でもさ…助けるのはこれが最後だ。」
『…最後?』
「アキ、ろう学校へ転校だろ?」
…迷っていた現実を、示してくれた。
『うん。』
「つらい事があっても、俺の力なしで乗り越えるんだ。」
…厳しいことを、言った。
『…分かった。』
私の事…好きなのに…。
「アキがそっちで笑顔だと、俺も笑顔になる。もちろんサユや、ヒロ、ユウタだって。」
それは、カズヒロが強がっているのを、必死に隠しているようにも見えた。
『…だね。私、笑うね。』
アキは、そんなカズヒロを見てられなかった。
「おぅ。…たくさん友達作れよ。」
2人の恋は『別れ』というゴールに差し掛かろうとしていた。
アキの心も、ろう学校に入学すると、既に決まっていた。
『分かってる。』
「俺も応援してるからな。」
しんしんと夜は更ける。
寒空の下、アキとカズヒロは近くの公園で、野宿せざるを得なくなった。
「今夜はここしかないか…。」
カズヒロは、公園のベンチに横たわると、すぐに眠ってしまった。
アキも、近くで寝ようと横たわり、目を閉じた。
すると、不思議な事が起こった。
これは夢…?あの人は…コウタ?