おにいちゃん、これおしえて?

misato 2011-07-01投稿
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「……あれ?」


がらり。

教室の扉を開け、中へ入ると、わたしはみんなの様子がいつもと違う事に気が付いた。


「ねぇねぇ、何かあったの?」


わたしは、自分の席に荷物を置くと、後ろの席の田中さんにそう訊いた。


「……転入生が来るらしい」


ぼそりと田中さんはそう答えた。


「転入生?また?」


「……うん」


こくり。


田中さんは頷いた。


「……こら、何をやってる!全員、早く席につけ!」


すると、担任の左藤先生が怒鳴りながら教室に入ってきた。


わたしは、鞄をしまい、急いで席についた。


全員が着席し、教室は沈黙に包まれる。


一拍の間をおいて、沈黙を破るように左藤先生が口を開いた。


「――もう全員知ってると思うが、今日からこのクラスに仲間が一人増える」


その言葉を聞いて、教室の皆が一斉にざわめきたつ。


「……入れ」


左藤先生が、視線を教室の扉の方へ動かした。


すると、一人の男の子が教室に入ってきた。


男の子の姿を見て、一部の女の子たちが「きゃ……」と小さな黄色い悲鳴をあげた。


理由は簡単、その男の子がかっこよかったからだ。


綺麗な黒髪に、端正な顔立ち。身長は平均よりちょい上くらいで、細身。


男の子は教卓の前まで来ると、クラス全体を見渡し――


「藤堂郁です、宜しく」


――そう言った。



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