おにいちゃん、これおしえて?

misato 2011-07-03投稿
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こういう時の行動力は、人一倍。

わたしは、次の日学校の靴箱前で、颯天くんが登校してくるのを待っていた。


「……あ、おはよ。初音」


とそこで、背後から声を掛けられた。振り返ると、そこには親友の明花の姿が。


「おはよう、明花」


「……何してるの?」


「ん?……ちょっとね」


ここで正直に颯天くんを待ってますだなんて、答えられない。


そんな事をいったら明花からこの事実が流出して、颯天くんに迷惑をかけてしまう。


「へえ、池内くん待ってるんだ」


何でバレたの?!


「ふふ、何せ未来が見える魔術師ですから」


怪しげな笑みを浮かべる明花。


うん、全く意味がわからない!


「……お、来たみたいだよ」


明花が靴箱の方を指差していった。


明花に言われて、靴箱の方に視線をやると……


――颯天くん!


そこには、颯天くんの姿があった。


時計を見ると、時刻は午前8時10分。


わたしが学校に来たのが8時丁度くらいだから、約10分待っていた事になる。


「ほら、何してるの?早く行きなさいっ」


「わぁっ!」


明花に背中を押され、進みたくもないのに足が勝手に前へと進む。

「……ん?」


そのせいで、颯天くんにわたしの存在が認識された。


「おはよ……はーちゃん」
「おはよう……そーくん」


幼い頃の呼称でお互いを呼び、挨拶を交わす。


颯天くんは照れているのか、少し頬が赤い。


「そ、そーくん……聞きたい事が――」


「池内!丁度良かった、ちょっと来てくれ!」


わたしが本題を話そうとしたその時、野太い男の人の声がそれを遮った。


声の主は――学年主任の松坂先生。


「はい、わかりました。――じゃあな、また教室で」


颯天くんは軽くわたしに手を振って、先生の元へと走っていった。



――折角、待ってたのに。



落ち込みながらも、わたしは自分の教室へと向かった。


*―*―*―*―*―*
このお話は、前の「いっくん」が転入する前、初音が明日颯天に直接聞こう!と決心した後に入るべきお話でした。
投稿したのに何故か切れていたので、再投稿します。

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