こういう時の行動力は、人一倍。
わたしは、次の日学校の靴箱前で、颯天くんが登校してくるのを待っていた。
「……あ、おはよ。初音」
とそこで、背後から声を掛けられた。振り返ると、そこには親友の明花の姿が。
「おはよう、明花」
「……何してるの?」
「ん?……ちょっとね」
ここで正直に颯天くんを待ってますだなんて、答えられない。
そんな事をいったら明花からこの事実が流出して、颯天くんに迷惑をかけてしまう。
「へえ、池内くん待ってるんだ」
何でバレたの?!
「ふふ、何せ未来が見える魔術師ですから」
怪しげな笑みを浮かべる明花。
うん、全く意味がわからない!
「……お、来たみたいだよ」
明花が靴箱の方を指差していった。
明花に言われて、靴箱の方に視線をやると……
――颯天くん!
そこには、颯天くんの姿があった。
時計を見ると、時刻は午前8時10分。
わたしが学校に来たのが8時丁度くらいだから、約10分待っていた事になる。
「ほら、何してるの?早く行きなさいっ」
「わぁっ!」
明花に背中を押され、進みたくもないのに足が勝手に前へと進む。
「……ん?」
そのせいで、颯天くんにわたしの存在が認識された。
「おはよ……はーちゃん」
「おはよう……そーくん」
幼い頃の呼称でお互いを呼び、挨拶を交わす。
颯天くんは照れているのか、少し頬が赤い。
「そ、そーくん……聞きたい事が――」
「池内!丁度良かった、ちょっと来てくれ!」
わたしが本題を話そうとしたその時、野太い男の人の声がそれを遮った。
声の主は――学年主任の松坂先生。
「はい、わかりました。――じゃあな、また教室で」
颯天くんは軽くわたしに手を振って、先生の元へと走っていった。
――折角、待ってたのに。
落ち込みながらも、わたしは自分の教室へと向かった。
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このお話は、前の「いっくん」が転入する前、初音が明日颯天に直接聞こう!と決心した後に入るべきお話でした。
投稿したのに何故か切れていたので、再投稿します。