あの時の光景が瞼の裏に焼き付いて忘れられないー…。
隼人くんと留季ちゃんが楽しそうに話していたことを…
でもそんなの…あって当たり前。私だって豪や太一くん、ミノルくんとも話すじゃん…それと同じ事なのに胸の奥の奥に黒い霧が積もったように息苦しくなる…
ボーとしてると目の前にコッペパンがつき出されてた。
桜 「えっ…なに?」
いつの間にかお昼になっていた。
隼人 「…唐揚げサンド…」
桜 「へ?」
隼人 「今日も唐揚げ弁当だろ?だから唐揚げサンド…」
桜 「うんっ!」
隼人くんに話しかけられた瞬間、胸の奧にあった黒い霧が晴れた気がした。
桜 「唐揚げサンドが食べたいなら購買で買ってくればいいのに」
隼人 「…桜の唐揚げサンドうまいから…そっ…それに最近桜の様子変だし…」
桜 「そっ…そんなことないよ?」
隼人 「つーか俺でよかったら相談のるからな」
隼人は真剣な目で私の目を見る。
不覚にも滅多に見せない隼人の表情にドキッとしてしまった。
それと同時に私の涙腺が緩んで目頭が熱くなった…
桜 「うん…ありがとう」
隼人と話すと緊張する。でもそれは…決して嫌いなものではない。
できるなら隼人ともっともっと話していたい。
私の中の黒い霧が晴れて息苦しさがなくなった私は久々に駅前のゲーセンで友美と芽衣と遊んだ。
あっという間に時間が過ぎもう空は少し暗くなっていた。
友美 「やっばぁ〜親に怒られるかも…」
芽衣 「時間たつの早すぎでしょっ!?」
桜 「早く帰んないと」
私達は小走りで帰宅する。
ふと目に止まった人物がいた…
隼人だー…。
桜 「おーい隼…」
私が隼人くんを呼ぼうとしたのを芽衣が遮った。隼人の隣には…
留季ちゃんがいた……
留季 「今日は送ってくれてありがとう」
隼人 「別に…」
留季 「素っ気ないね…小学校の頃は優しかったのに…
そーだ!明日から隼人くんにお弁当作ってこようと思うんだっ!」
隼人 「はぁ?」
留季 「だって隼人くんコッペパンばかりだからちゃんとバランス取らないと!だから作ってきてもいいかな?」
隼人 「…好きにしろよ」
えっ…なんで?
私の唐揚げサンドおいしいって言ってたじゃん…
友美 「あの二人いい感じだよね」
芽衣 「てか両想いなんでしょ?」
なに…言ってんの…
やだよ…そんなのやだよ…絶対にやだっ!!
芽衣 「ちょっ…桜どうしたの?」
桜 「え?」
私は泣いていた…
二人が大きな声で騒ぐから隼人くん達に気づかれた。私は泣き顔を見られたくなくて家へ向かって全力で走った。
隼人 「桜!!」
隼人くんが私の名前を叫ぶ…それでも私は走った。
20分程私は休まずに走った。そして自分の部屋に行き部屋着に着替える。今日は最悪だ…泣き顔は見られるしそれに…それにせっかく晴れた黒い霧がまた積もって息苦しい…
その時…バンッ!!と玄関のドアを力強く開ける音がした…
そこには息を切らしてこっちを睨んでいる人物がいたー…。