レクスが大広間に入った途端、会場の視線がそちらに向けられた。
いつもなら何もせずとっとと挨拶でもして帰るところだが今回は違った。
円を描くかのようにいる人混みのなかのある一帯が空いている。
中心部のようだが、そこに何があるのかは人が邪魔して見えない。
大した苛立ちもなく円の中心に一歩踏み出す。
それに人が避けた。
その時に見えた横顔に息を呑んだ。
金の髪を月明かりに輝かせ青い瞳は少し伏せられている。
風が金を一房拐った。かと思うと薄いピンクの生地に金を落とした。
幻想的な光景につい見入ると伏せられていた瞳と目があった。
ざわめきが消えた。
正確には消えてはいないのだが……。
青の瞳が揺れるのを黙って見る。
その反応がレクスには気に入ったらしい。
(もともとこの為に来たのだから別に支障はない。)
レクスは不敵な笑みをその口元に浮かべると彼女、リアの方へと近付いていった。