彼、レクスが近づいてくるたびにこちらとの距離が縮まっていく。
それにリアは動けずにいた。
レクスがリアのすぐ前まで来ると、リアは慌てて立とうとする。
しかしそれよりも早くレクスがリアの右手をとった。
肘までを覆うようにある薄い手袋の上から軽く口づける。
社交辞令だとしてもどこか違和感があった。
たぶん見ている方は何も感じないだろう。
それも当たり前だ。
手の力の強さだった。
手を引こうにも簡単には引けないくらいの強さ。
「あの…」
リアは何とか離してもらおうと口を開きかけた。
しかしそれをレクスに封じられた。
手の力がさっきよりも強まった。
そして立つように促した。
引かれるようにして立ち上がると叔母の姿がそこにあるのだった。