もう冬になりそうな10月のコンビニ。
龍永正二(たつながしょうじ)という俺の親友に頼まれたバイトもあと二時間で交代するはずだった。
・・・・・・・・・つぐつぐ俺は運がないと思うよ。
「う〜ん、つかれた〜」
店内には一人だけ客がいた・・とても挙動不審だけど?カラーン
もう一人客が入ってきた。まだ若い女性だ。
髪は長く、とてもきれいな黒で、男目から見てもいいトリートメントを使っているであろうことが解った。・・・それに引き換え最初にいた客はボサボサな髪に作業着を着たおっさん。
しかも目は虚ろでさっきからなにか呟いている。
―ああはなりたくねぇな
など思っているとそのおっさんがレジにきた。
そこそこの営業スマイルで商品を受け取ろうとすると・・・・・・
カチャ
えっ
「てをあげろ!」
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・ハイ?
「でないと撃つぞ!」
えぇぇぇーー!!!
ご、強盗!やべぇ
・・・・・・まだこれだけなら俺も運がないと思うほど思い詰めたりしないさ。
なんたって小中高ミスターボジティブだったからね。強盗くらいなんともないさ!(それもどうかな?)
・・・・・・話を戻そう。
そう名乗ったおっさんはいつの間にか倒れていた。
その後ろにはあの女性が。―あぁ、麗しの女神よ。貴女が助けてくれたん
カチャ
「金を出せ」
・・・・・・・・・・
バーン!バーン!
「早くしろ!」
・・・・・・・・・・え、貴方も?
しかも撃ってきたし・・・
・・・・仕方ない。ゆうこときくか・・・・と、その時
ドカーン!
「警察だっ!」
おもいっきり自動ドアをぶち破った、警察車両からナイスミドルが降りてきた。一応助かったのかな?
・・・・・いろいろ突っ込むとこ満載だけど?と思っていると
「動くな親父!こいつがどうなってもいいのか!」
えぇぇぇーー!お父様でございますかー
「成美!お父さんが悪かった!だから帰ろう!」
「うるせー!もうてめぇなんかうんざりだ!二度と帰ってやるもんか!」
―親子ゲンカは家でやれ!なんて思いながら突っ立ってると、なんか変な・・・というか嫌な感じのガソリンしゅ・・・・・・
「危ない!!離れろ!」
「えっ」
ドッカ〜ン!
「ごほ!ごほ!く・・・ガソリンが気化して爆発したか・・・・・!成美!成美はどこだ!あとガソリンの人も・・・・くそっ!成美ー!ガソリンの人ー!」
「俺は香奈宗谷(かなそうや)」
「・・・・下北成美(しもきたなるみ)よ・・・・・・・・・・・・・・・あ・・・りがと・・さっきは・・」
「いいんだ。無事で何より。・・・・・・それにしてもここは・・・・?」
なぜか俺たちがいたのは大空洞。
「とにかく光の方に進もう」
「うん・・・」
さっきまでの威勢が感じられない成美。
無理ないか・・・あんな爆発に巻き込まれたんだ。
ここが[ギクシャクマート]じゃなけりゃすごい被害を被った(こうむった)だろうギクシャクマートはコンビニの癖に半径二キロに民家がない。
あるのはたくさんの草だけだ。
しっとりとした成美さんもかわいいなぁと先程発泡されたことも忘れる鶏頭の俺はどんどん歩いて行った。