虚ろな瞳の奥に何を見ているの
呼び掛ける僕の声に驚いたような顔で見上げる
その瞳から今にも涙が零れそうで切なくさせる
いつもそうだ
君の心は今何処にあるの
君の心を簡単に読み取れたらどんなに楽だろう
『大丈夫?』
僕の口癖になった
君は弱く笑って頷く
いつからだろう
君がこんな風になってしまったのは
頑張って笑う君の腕を掴んで僕も笑う
あまりにも細い君の腕が折れてしまわない様に優しく包む
僕が泣いてしまいそうだよ
『結婚しよう』
君を幸せにする術を知らない
でも幸せにしたいと思う気持ちは本物だよ
『今は駄目よ』
小さく溜息を吐いて君は言う
『どうして?』
悲しい
『自分に自信が持てないから』
苦しい
『僕が守るから』
守ってあげたい
『分かってないのね』
良く分からないよ
『今から変わるんだ』
僕が変えてあげるよ
『私は弱いから』
だから僕がいるんだよ
君が頷いてくれるまで言い続けるよ
『結婚しよう』
君が思い切り泣ける様な
君が思い切り笑える様な
君が思い切り羽を伸ばせる様な
僕がそんな君の安らげる場所でありたい
いつも考えているよ
君との未来を
君と築く未来は輝いていると
目の前で美味しそうにご飯を食べる君
お風呂上がりに髪を乾かす君
眠たそうに目を擦る君
寝息を立てる君
けだるそうに朝目覚める君
行ってきますと出ていく君
ただいまと買物袋をさげて帰ってくる君
色んな君が僕の中にいて
それが現実になったらどんなに幸福だろう
僕は君を幸せにしたいけど
僕を幸せにするのも君だよ
やっと見付けたんだ
僕の生きる糧を
僕に沢山愛されている
それを自信にしてよ
君が笑うと僕の世界は明るく輝くんだ
亡くしかけた君の心を取り戻して
真っ直ぐに僕の眼を見つめてくれる様に
細い腕でしっかりと僕の腕を掴める様に
僕が強い男になるから