妹の恋煩い

ピノ 2011-07-10投稿
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 昼休みになり、結子が机の上を片付けて頬杖を付いていると、いつものように茅野とマナが昼食を持ってこちらまでやって来た。

「あー、お腹すいた」

茅野がパンの入った袋と缶ジュースを机の上にどさりと置き、マナもキャラクターの絵が乗っている女の子らしい弁当箱を机の上に置いた。

「あれ、結子お弁当は?」

結子はいつも自作の弁当を持ってきているのだが、今日はそれを出していない。

「あたしお昼食べないから、二人で食べてくれる?」

結子はそう言って立ち上がった。

「えっ、どうして?」

「体調悪いの?」

二人は口々に尋ねた。

「ちょっと食欲ないから図書室で勉強してくる」

結子は引き出しから課題のプリントと筆記用具を出した。

「風邪?」

「ううん、そんなんじゃない」

結子は笑って手を振る。

「まさかダイエット?」

「違う、違う」

結子はガリガリに痩せていて、あまり体も丈夫ではなかった。それだけに二人は心配なのだった。

「きついんだったら保健室行きなよ」

「平気だって」

結子は笑いながら立ち去っていく。

「大丈夫かなぁ」

「まぁ、本人がああ言ってるからね」

茅野はパンの袋をぴりっと破いた。




 浩介の弁当は友人達の間で一種の名物となっている。

「いつ見てもすげぇな」

「全部手作りなんだって?」

冷凍食品の類が一切使われていないその弁当は、色とりどりで、どれを見ても美味そうだった。

「適当でいいって言ってるのに」

これを作っているのは妹だ。わざわざこの為に一時間以上早く起きている。

「それは嫌みか」

弁当のないゴン太は毎日売店に昼食を買いに行く。

「あ、俺も行くよ」

浩介は立ち上がった。

「何でだよ。用ねぇだろ」

ゴン太の言い方には少々トゲがあった。

「買う物あるから」

妹は今朝、一人分の弁当しか作っていなかった。朝もほとんど食べていなかったし、もしかしたら体調が悪いのかもしれない。買い物がてらに教室を覗いてみようと思った。



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