『でも私、ひとりでも大丈夫なの。』
「…。」
『だから安心して。』
コウタは強く反論した。
「誰かのぬくもりが欲しい時だってある!」
『え…。』
「強がっているだけじゃないの?」
『私はもう…強がりなんか見せない。』
アキの決心は、固かった。
「なら…いいけど…。」
コウタは、ゆっくりと空へ上っていった。
『コウタ…行くの?』
「迎えの時間が来た。」
コウタは光の渦に巻き込まれて一瞬で消えた。
「さようなら」が言えなかった事に、アキは当然後悔していた。
立ち尽くしているアキに、どこからか声が…。
アキ…
アキ…
アキっ!
目を開けたら、カズヒロが近い!
アキは異常なほど驚いた。「うわっ!」
その驚き方にカズヒロも驚いていた。
「なんだよ!すげぇ驚き方…。」
『だって私…こんなに男の人近くで見たことないから…。』
「まあ、俺も正直どきどきしてたけど。」
今日は帰る日。アキは未だにドレス姿だ。
「なんか、アキに服を買ってやりたいけど…。」
『いい、別に大丈夫。』
「ごめんな…。」
電車で帰るのだが、その車内、ドレス姿のアキは好奇の目にさらされた。
でも、アキは気にしていないようだったので、カズヒロも安心した。