悪魔の天使 (11)

暁 沙那 2011-07-19投稿
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「さ、行こうか。」
と、レクスは手を差し出した。
その手をリアは躊躇いながらそっととった。



リアたちは再びあの大広間にいた。
確かこれから始まるのは主役の挨拶に社交ダンス。

リアは隣にいるレクスを見上げた。
と、彼の黒い瞳と目があった。
レクスもリアを見ていたのだ。

不思議と安堵がよぎる。
それと同時に声が零れた。

「ねえ、私たちいつか会ったことがあった?」
「ないけど?
どうして?」
「ううん、何でもないの。」

そっか、とレクスが淡く微笑んだのとほぼ同時に会場が静まり返った。

視線の先にいたのは
「おば様……。」

リアは無意識に一歩下がっていた。
瞳には暗い色が浮かんでいる。

「リア」

優しく名前を呼ばれて、不安そうな顔を上げた。

ついレクスの手を握る。
羞恥なんて頭になかった。
ただただ不安だった。

(おば様は私の存在を認めて下さってない。
部屋に戻れって言われたのに、ドレスまで貰って、また帰ってきて……。
絶対怒られる。)

リアの心を占めた不安。
認められない恐怖。

レクスはそれらをなだめるかのように、リアの手を握る手に力を込めたのだった。

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