私の頭は沸点を越え、茹でダコ状態だ。
抱き締められるがままの態勢で、綾川くんの肩に顎を乗せて固まっている。
二人の間で私のか綾川くんのか分からない胸の鼓動がバクバク聞こえる。
「えっ…あ、あのっ」
ただ口をパクパクさせて直立不動の私はなんて滑稽なんだろうと思うとさらに顔が赤くなる。
「槇原さん。…もうバレバレだったかもしんないけど……、俺も…好き。」
と、耳元で綾川くんが擦れた声で呟いた。
私は驚きと恥ずかしさで綾川くんの胸を少し押して二人の間にわずかな距離を作り、綾川くんの顔を見上げた。
そして目が合うと、綾川くんは耳まで真っ赤になっていて、目を逸らそうとしてるけど頑張って私の瞳を見てくれている気がして少し平常心を取り戻す。
「…耳、赤いよ」
恥ずかしさを紛らわすため綾川くんの耳を触って笑いながらそう呟いた。
すると段々と綾川くんの顔が近くなってきて、私は恥ずかしさの余り少し俯いた。
するとそれを覗き込むように綾川くんの顔が視界に入ってきて
「槇原さんも頬っぺた真っ赤……………チュッ…。」
綾川くんの唇が音を立てて私の頬っぺたに触れた。