「ねえ、風にでもあたってこない?」
叔母が挨拶をしているのにも関わらず、レクスは手を引いた。
突然のことに驚きながらもリアは付いていった。
「…綺麗……。」
満天の星空についそんな言葉が出た。
「綺麗でしょ?」
「うん……。綺麗…本当に……。」
月が半分に欠けていた。
(そろそろ新月になってしまうのかしら?)
そんなことを考えているとレクスが動く気配がした。
いつの間に来たのかリズがレクスに何か言っている。
レクスは少し不機嫌そうに溜め息を吐くとリアを見た。
「ごめんね。ちょっと待ってて。」
「うん。分かった。」
そう返事をするとレクスは踵を返した。
なぜか風がひどく冷たく感じる。
「この感じ前にも…いつか……。」
リアは変な胸騒ぎをおぼえていた。
『ごめんね。ちょっと待ってて。絶対帰ってくるから。』
(そういって彼は帰ってきてくれた?)
そもそも彼は誰だった?
そもそもこの記憶は私のものなの!?
私が私でなくなり始めたのた間違いなく彼に会ってから……。
リアの足は勝手に進んでいた。
レクスの方に。
真っ直ぐ……。