宇宙戦隊・7

豆宮  2006-09-12投稿
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「……は?」
コウは自身の耳を疑った。

『今の宇宙は荒れている。戦争や貧困や災害…その混乱に乗じてかつての宇宙の支配者・アダムが復活してしまった…』
「あの〜、まさかそれを俺に倒せとか言うんじゃ…。」
『あ、そーゆーこと。』
「ばっ…冗談じゃねぇよ!俺は死んだんだろ!?そんなよく分かんない話俺にされても困るって!おとなしく成仏させろよ!!」
コウは必死に腕を振りほどこうとするが、サリの力は異常に強くビクともしない。
「お願いだからそーゆー話はもっと健康な人にしてほしいんですけど!まさか死人なら倒されても死なないから大丈夫とかいうんじゃねぇよな!」
『違うよ…君だからこそ、頼みたいんだ。』
「何でだよ!俺一人より爆弾一個の方がよっぽど頼もしいんじゃねぇの!?」
『爆弾なんて、そんな壊すだけしか能の無いもので倒せれば苦労はしないよ…いいかい、君はかつてアダムを封印した天使・ルコフィエルの生まれ変わりなんだよ。』
「うわっ、何てありきたりな展開!そんな単純な話には騙されねーぞ!」
コウは聞く耳を持とうとはしなかった。
『本当だよ〜!神様の言葉が信じられないの?!』
「腕がライオンで白蛇飼ってる神なんて怖くて信じられねーよ!第一この俺が天使なんて大層な物の生まれ変わりに見えるか!?」
『あ、見えない見えない!』
「認めちゃうのかよ!とりあえず俺がその生まれ変わりって証拠も無いし…」
『あるよ。見せてあげようか。』
サリは数メートル程前方にある小さな星屑を指差した。その星屑が赤く光ったかと思うと、星屑はコウめがけて突進してきた。

「わ……っ!!」

コウは思わず身構えた。

しかし次の瞬間。コウは身構えた自分の手から真っ白な光が発射され、星屑が粉々に砕けるのを見た。

「………なっ…」
『うんうん。やっぱり“人間の肉体”の状態でない分、存分に力を発揮出来るみたいだね。』
コウには今の出来事が信じられなかった。
『ルコフィエルは色んな力を持っていた。破壊する力、守る力、未来を見通す力…君が生きてた時も、何か変な経験をしなかった?』

思い出したのは、あの花火の日のこと…

「偶然だろ…俺はそんな立派な奴じゃない!俺は…」

浮かぶのは、父と妹の明るい笑顔。

「…俺は…誰も救えなかったのに…」

『これから救えるよ…多くの命を。』

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