するとサユが、
「もうすぐクラスマッチだね…。」
『クラスマッチか…。』
クラスマッチとは、クラス対抗で、野球やサッカー、バスケ、バレーなどのスポーツを行う白愛高校冬の風物詩である。
「カズヒロの雄姿、見られるかもよ〜。」
『雄姿…か。』
「何想像してるの?もう、アキはすぐ自分の世界に入って…。」
サユもアキの姿を見て笑っていた。
学校は、アズサという逮捕者がでてしまったものの、思ったほど緊張しておらず、平和だった。
放課後、2の1は全員教室に残って、クラスマッチの話し合いをしていた。
「ねぇ、アキは何やるの?」
アキはしばらく考えても、答えが出なかった。
『サユは?』
「私はバレーかな。アキも一緒にやろうよ。」
『そうだね…。』
「何なの。もっとやる気になろう!バレーだったら、サッカーの試合と時間がかぶらないよ。」
『本当?』
アキは、すぐさまバレーをやることに決めた。
近くでその話を聞いていたカズヒロは、
「見られると恥ずかしいんだけどなあ。」
と、照れながら割り込んできた。
「カズヒロ、聞いてたの?」
「あぁ、サユが必死にアキを説得してるの見てると、俺おかしく思えて。」
「もぅ。」
すると、ユウタが近寄ってきて、
「おい。カズヒロはもちろんサッカーだよな!」
「おぅ!ユウタ。足引っ張んなよー。」
「ハァ?バーカ。俺の奇跡のシュート見てな!」
「奇跡…じゃあ珍しいって事だな。」
カズヒロとユウタの会話は、とても可笑しく、笑いっぱなしだった。