RIO-2

メシア 2011-07-30投稿
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誤魔化し続ける彼女。

「紫音!」

紫音はますます目を反らす。俺は紫音の左手を掴んで引っ張った。

ヌルッとした感触がする。
血だ。
俺の手には紫音の血がついた。
紫音は泣きそうになっていた。

「自分で切ったの?」

紫音は何も答えてくれない。
とりあえず、彼女の腕にハンカチを巻き付けた。何でだよ、リストカットなんて───

紫音の血は固まってきた様だった。
二人で理科室の隅っこに座る。

「何で切ったの?なんとなくはなしね。」

紫音は黙って何も答えない。

「なんかあったら俺に言えって言ったじゃん。」
クラスでの紫音の味方は俺だけだった。

「そんなに俺が信用出来ない?」

「…なの。」

「え?」

「嫌なの、学校がもう嫌だ。来たくない。」

やっぱりいじめの事だ。こいつが悪い子には思えないけど。

「親とかに相談出来ないの?」

「お母さんには言えない。」

「正直に言った方がいいと思うけど。」

紫音はまた黙っている。俺は立ち上がった。

「じゃあな、紫音。もう切るんじゃねぇぞ。」

俺は理科室を出た。
何で俺って最期まで話を聞いてあげられないんだろ?
俺って弱いな…。



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