かくれんぼ?

葉桜  2006-09-12投稿
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絶好の隠れ場所を思い出したのだ。納屋の後ろにある井戸だ。もう長い間使われず、板を何枚か並べてしっかり杭で打ち込まれた蓋がしてある。その井戸の横に、ぴったりと桶置きの木造の台が取り付けられていた。その中が僕が隠れるのにちょうどいい位の大きさをしていた事を思い出したのだ。小さい時にお婆ちゃんに見せてもらって、何故か僕はそこがとても気に入ったんだ。「気をつけてね」と言う母の言葉にも耳を貸さず、よくその場所に隠れていた事を僕は思い出していた。     鬼が数を数え出してから、僕は誰にも見つからないように井戸の後ろへと回った。桶置きの台は時を物語るように朽ち果てていた。板の端を少し引いて桶置きの中にすべり込んで板をまた閉めた。僕は絶対に見つからない自信があった。おかしくて笑ってしまいそうだった。桶置きの箱の中は真っ暗だった。大分時間が経ったが見つからない。足音すら聞こえない。僕はしゃがんだ姿勢に疲れてきて、お尻を地面について井戸に背を向け寄り掛かった。



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