世界をたずさえて。

奈月 巴歌 2011-07-31投稿
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西暦、3654年−−。
人類は発展の一途を辿っていた。
しかし、同時に人間の支配権は人間ではなくなっていった。


…僕の名前は天城 ヒカル(あまぎ ひかる)。
電脳都市メガ・トーキョーの市立高校に通う高校一年生だ。

友達もそれなりに多いし、成績も上位の方、恋愛とかは…そんなに縁がないが…。

それでも人並みに平均的な日常を送っている。
けれど、僕はそんな日常に疑問を抱いている。
何故なら……

「おい、ヒカル!!俺今度、新しいパーソナルコンピューター様を買わせて頂くんだぜ!!」
「…そうか。」
「んだよ、冷てぇな;あ、昨日拝見したテレビ様の番組がさ…」
「…ユウヤ、もう直ぐチャイム鳴るぞ。お前日直だろ?黒板に日付書いておけよ。」
「あっ、そうだった!!サンキュ、ヒカル!!」

…いつの時代からか、人々は全ての情報源である「機械」を神のように崇めるようになった。

一体何故?「機械」は人が作り出すものなのに、何故僕らはそれを神と同等に崇めるんだ?

…だが、それが「当たり前」の世界だ。
僕のこんなちっぽけな疑問なんて、考えるだけ無駄だろう。

黒板に日付を書く友人をちらりと視界の端に映し、小さく溜め息をついた。


こうして、何か心にモヤモヤとした物を抱き、僕は今日もまた「日常」を過ごす。


……筈だった。

−序章・完−



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