パチパチと火花がはぜる音が辺りに響く。背中が熱くて痛い、軽くはない火傷を負っている証拠だ。
朦朧とする意識の中、一人の少年は辺りを見回した。
瓦礫の山と化した街、夜空を焼き焦がす業火、魂を失った亡骸達、そして−−おぞましい咆哮を上げる、巨大な恐竜の様な化け物。遠目からでも、はっきりと解る。爛々と輝く四つ眼が、鋭い牙から滴り落ちる唾液が、漆黒の甲殻の隙間から絶えず噴出する毒霧が、鮮血に染まった鉤爪が。
「ヴォォォォァァァァ………ッッ!!!」
化け物は一際激しい咆哮を上げ、天を仰ぐ。その直後、化け物の口から無数の火球が放たれた。それは放物線を描いて地表に降り注ぎ−、
ズドドドドオオォォォン!!!
廃都と化した都を再び焼き尽くした。
熱波に焼かれる中、少年は見た。化け物が空間そのものを引き裂き、その裂け目へ入ってゆくのを。
………その日、一つの世界は破滅を迎えた。