桜の蕾が膨らみ始める頃彼は言った。
「俺、桜が好きなんだ」
元気でやんちゃで表情がコロコロ変わる私の幼馴染みは顔を赤く染めて揺るぎない瞳で私に言ったー…。
桜 「豪待って!手首痛い!」
隼人の病室から少し離れた階段の下。
豪はやっと止まった。
桜 「…豪?」
豪は振り向くと同時に私を痛いぐらいに抱きしめた。
桜 「やっ…やだ豪!離して!!」
豪 「…あいつが好きなのか?」
桜 「…え?」
豪 「隼人が好きなのか?」
桜 「うん」
豪 「…俺の気持ちはまだあの時と変わってない」
あの時。それは私と豪が小学生を卒業式した日の事。その日私は豪に告白された。
豪 「俺、桜が好きなんだ」
桜 「…豪…でも私…隼人のことが」
豪 「言うなっ!!」
桜 「…」
豪 「んなこと…言われなくてもわかってんだよ…」
桜 「…」
豪 「それでも…桜の口からは聞きたくねぇ…」
桜 「私、豪のこと好きだよ…でも恋愛とかの好きじゃない」
豪は私が泣いてるときや落ち込んでるとき、必ず側にいて笑って励ましてくれた。
桜 「私隼人が好きなの…それは絶対に一生変わらない気持ちなの」
豪 「…絶対に?」
桜 「うん」
豪 「……ならしょうがねぇな」
豪 は私から離れる。
その時の豪は…一筋の涙を流してた…。
桜 「豪…」
豪 「ヤベッ!俺ソース買ってきてって言われてたんだ!。そう言うことだから俺帰るなっ!」
豪は笑顔で手を振って走り出す。
私は走り去る豪の背中を見つめながら
桜 「ありがとう…」
そう一言呟いた…。
私が病室に戻ったときはみんな帰る仕度をしてた。
友美 「桜帰るよ〜」
桜 「うん」
私達はそこにあるエレベーターに行くだけなのに隼人も一緒に来てくれた。
桜 「隼人バイバイ。また明日ね」
隼人 「おう」
そしてエレベーターが閉まる瞬間…
隼人が倒れた。