満天の星空の下、そこにあった光景に青の瞳が揺れた。
いつか見たことがあるような……。
愛し合う者同士の一番分かりやすい行為。
「…っ……!」
目の前が一瞬暗くなる。
「何…これ……。」
色が戻ったとき、リアは自分の目を疑った。
そこは違う世界。
真昼のそこは色とりどりの花が咲き誇り、花弁に付いた水滴が輝いている。
優しい光に導かれるようにリアは足を進めた。
「ディル!」
凛とした声がそこに響いた。
「何?ルカ。」
「やっと見つけた。もう…どこ行ってたのよ。」
ルカ、と呼ばれた人物はリアのことなど見えていないのか、さっさと彼のところに行った。
「そういえばね……。うん。ははっ!やっぱりいい。」
「え。何?言ってよ。」
「えーっ!内緒!」
仲の良い二人のようだ。
「恋人同士かしら?」
ルカの笑顔を見ると何だか悲しくなってきた。
(幸せそう……。)
知らずのうちに目に溜まっていた涙を拭うと、急いで踵を返そうとした。
『逃げちゃダメよ。向き合わなきゃ。そんなんじゃいつまでたっても変わらない。あいつらの目は変わらない!』
暗い。
色が消えた。