「アキ…。」
『どうしたの?』
「私、ずっとアキの友達として付き合ってきたじゃん。」
アキは頷いた。でも、急にどうしたのだろう…。
「でも、もうダメだわ…。だって…。」
『だって?』
「私まだカズヒロのこと、諦められないの。」
『えっ…。』
信じられなかった。
諦められない…?キャンプの時から…?
「だから、素直にアキとカズヒロの恋を応援できない…。」
サユの目は、憎しみに溢れていた。
怯えるアキ。
『サユ…落ち着いて…。』
「申し訳ないけど、私あなたが嫌いだわ。」
嫌い…嫌い…うそ…。
まさかの裏切り…。
『ウソでしょ…。今まで仲良くやってきたじゃん!』
「説得している暇があったら、カズヒロにもっと好かれれば?私、何するか分からないよ?」
『そんな…。』
「一晩過ごした時も、いやらしい事してたんでしょ?」
『してない!』
アキは店を飛び出した。
親友だと思っていたのに、まさかの裏切り。
携帯を取出し、カズヒロに助けを求めようとした。
でも、あの言葉、
『助けるのはこれが最後』
を思い出したので、アキは自分の心に留めておくことにした。
私、一人で…。
一人残されたサユは、走り去るアキの姿を、憎らしそうに睨んでいた。