すっかり旅支度を整えたリシュアを見て女将は慌てた様子で夕食を机に置き、リシュアの両肩をつかんだ。
「なんて格好をしてるんだい!あんなにボロボロになって戻ってきたばかりなのに!さあ、ベッドにお戻り…」
リシュアは女将の手を掴みゆっくり肩から下ろしながら首を横に振った。
「またお世話になったみたいで…ありがとうございました。私は行かなくてはいけないんです。一刻も早く奴に追い付かなくてはならないんです。」
「そう急くなよ、何とか奴の居所が分かるかもしれねぇんだからよ。」
先ほどの女将の声が聞こえたのか、女将の後ろに男が立っていてリシュアの出発を止める女将の加勢をし始めた。