「母さん…どこに行っちゃうの?一人にしないで!行かないで!」
小さな手は虚しく空を切る。
頬を涙が伝う。
「あの子のそばにいた人って皆不幸になってるんだって。」
「あれには近付かない方が身のためだね。」
ずっと避けられて育ってきた。
叔母からは認められず、義姉妹からは疎まれていた。
そんななかで悪魔と契約し自分の身を守った。
『一人にしないで。』
乞うように契約した。
寂しかったから。
家族が欲しかった。
休まる場所が、安心できる場所が、信頼できる人が、唯一の人が欲しかった。
母に、父に、叔母に裏切られた。
人が、周りの妖魔でさえ信用できなかった。
死にたくなるほど
辛かった。
だから私はあれに頼ったんだ。
その光は裏切るということも知らずに……。
頼って、失望して……。
最悪だ、私。
死にたい。
また彼みたいな光を求めよう。
いや、目を、耳を、心を閉ざそう。
そしたらもう
裏切られない!
一人にならない!
もう寂しくない!
自身の想い。