その男はリシュアがザイラスと戦っていた最中、加勢し全てを見ていたあの無精ひげの男だった。
「居所が分かるかもとは?どういうことです?」
怪訝な顔つきで男を見つめ、詰め入るように問いただすリシュアの様子に不穏なものを感じた女将は、さっとリシュアの後ろに回り背中をずいっと夕飯ののったテーブルに押しやった。
「ほらほら、お腹が空いてると眉間のシワもいつもの倍に寄っちまうのさ。自慢の料理が冷める前に食べておくれ!あー、あんたも、ここへ座って!けが人を立たせて話してるんじゃないよ。」
女将の有無を言わせない手際の良い指令に二人とも無言で従った。気がつけばリシュアの前には男が座り、俯き加減で少し苦笑いを浮かべていた。