李将が出掛けた後だった。俺は自分の部屋に行った。自分のと言っても将悟と二人部屋だけど。
将悟は二段ベッドの上でねっ転がっている。中学のジャージに変なTシャツ着て。俺は普通に私服。
「永輔〜いい天気だね〜。」
俺は窓を見る。どう見ても曇っている。
「李将は絶対のデート日和だね〜。」
将悟は寝返りをうってあっちの方を向いた。
ポケットに財布が入っている。あれは…
『新しいの買ったの〜』って李将が俺に見せてきたやつ!
「何でお前が李将の財布持ってんだよ!」
将悟はポケットから財布を出してわざとらしくびっくりする。
「あれ。李将の!何でこんなところに!?」
コイツ…李将が廊下に鞄を置いているうちに取ったな!
「これは俺が届けなくちゃね!」
将悟は階段を駆け下りた。
「待て将悟!」
俺は春姫とのデートを邪魔され嫌な思いをたくさんした!だから李将と緑岡の邪魔はさせないぞ!
将悟はビーサンを足に引っ掛けダッシュで走っていった。右手に李将の財布。ちゃっかりと左手には自分の財布と携帯。
俺もスニーカーをはく。
あれ?
そういえばこの家に誰も居なくなる。
俺は家の中に戻り窓と電気とガスの確認をしてから家を出た。