「そうそう、お嬢さんをこの男が担いで此処まで連れてきたんだよ。それじゃ、後でまたおかわりを運んできますからね。」 女将はそう言うと一応若い娘への配慮か、扉は閉めずに去っていった。
リシュアはそれを困った顔で見送って、目の前の男に頭を下げた。
「ありがとうございました。ここまで私を運んでくださって…さっきは少し気が立っていたので、失礼な態度をとってしまいました。」
あまりに丁寧に謝ってくるので少し面食らった男だが、これがあの魔竜と戦っていた者かと思うと、目の前で見ていたとはいえ信じがたくこの少女に対する興味が湧き始めていた。
「いや、謝るのは俺たち賞金稼ぎの連中なんだ。」
男もそう言うとリシュアに頭を下げた。