あなたを愛したのは事実です
あなたは高嶺の花でした
振り向いた時のあなたの顔が好きだった
気が強い風にして本当はとても弱いあなたに惹かた
あなたの明るさにいつも救われた
あなたのその声にいつも安心した
あなたが悪戯に僕の下の名前を呼んでくれた時
僕の心臓は張り裂けそうだった
『好きです』
どんなに真剣に告げようと
『ありがとう』と茶化して笑うあなたに
いつも僕は切なさを覚えた
あなたを抱き締めてみたくて
その肌に触れたくて手を伸ばした時
あなたが一度だけ受け入れてくれた
僕がたまらなくなって唇を重ねようとした時
一瞬だけ躊躇いながらもあなたは目を閉じた
今でもあなたに言える
あんなに素敵で切なくて心が乱れるキスは初めてだった
後にも先にもない
きっと忘れられない
忘れたくない
柔らかくて甘い香り
あなたを感じることが出来たあの時
また僕はあなたに落ちて行った
何もなかった様に振る舞うあなたはあの時何を感じたのだろう
『あの時のことは忘れてよ』
笑ってそう言えるあなたが凄い
一瞬の夢
あなたの温もり
あの夜
薄明かりに見えたあなたの頬に流れた涙
あなたは一体何を思った
過ぎ去るあなたの背中を見詰めただ息を吸った
あなたを追い掛けて
また抱き締めたいのに
足が動かない
届かないと分かっている
あなたが僕に見せられない傷を背負っていることも
だから君を見ていられるんだ
壊れない様に
僕には見詰めることしか出来ないけど
しばらくはあなたから離れると決めたけど
忘れないよ
あなたは簡単に言うけれど
僕は全身全霊であなたを抱き締めたのだから
あれ程に人を深く愛し始めたことはない
遠くもどかしく
それでも一日に一度
あなたの後ろ姿を見詰める
それだけで
あなたが存在するだけで
僕は十分過ぎる程幸せでした