私が起きた時は隼人はすでに起きていた。
桜 「ん…隼人おはよ」
隼人 「…」
桜 「隼人?」
隼人はゆっくりとこっちを向く。
隼人は…眠そうに顔を歪ませていた。
桜 「ぶっ…」
私はおもわず吹き出してしまった。
隼人 「ねみぃーんだよ…」そして大きなあくびをする。
桜 「もう一回寝たら?」
隼人 「あぁ。その前に…」そう言って隼人はカバンから何かを取り出した。
隼人 「これ」
私の心臓が大きく跳ね上がった。
それは…
隼人 「耳につけていいか?」
隼人が事故にあった日に買った龍と桜のピアスだった。
桜 「うん」
隼人は耳に穴をあける器具を取り出した。
隼人 「ちょっと痛いからな」
桜 「…いっ」
隼人 「ピアスつけるぞ」
そう言って隼人は耳元で囁く。
桜 「…」
隼人 「ついた」
桜 「ありがとう」
隼人 「別に…」
あっ…照れてる。
そして隼人も私と同じピアスをつける。
…なんか照れくさくなってきた。
隼人 のほうを見てみると…隼人が私を見ていた。
桜 「え…なに?私の顔になんかついてる?」
すると隼人が私の耳を掴んで
隼人 「このピアスの龍みたいに俺、お前を守るから」
隼人は口元に薄く笑みを浮かべ優しい声色で言う。
その時の隼人の表情、声を聞いたとき、なぜか私の胸のあたりがきゅ〜となって切なさと嬉しさが混ざった複雑な気持ちになった。
隼人 「なに泣きそうな顔してんだよ」
私にデコピンをする隼人。
桜 「だって…嬉しくて」
今にも泣き出しそうな涙を必死にこらえ自分が今、隼人に伝えたい気持ちを言葉で表す。
隼人 「んなこと気にすんなよ」
隼人はプイッとそっぽを向く。
桜 「隼人」
まるで「あ?」と言っている顔でこちらを向く隼人に一瞬だけキスをした。
隼人 「お前なぁ〜」
桜 「なによ。下手だって言いたいの?」
隼人 「キスするんだったら舌ぐらい入れとけよ」
んべと、舌を出す隼人。 すると隼人が私のアゴを掴む。
桜 「ぎゃぁぁーー!!アンタ本当に病人なの!?」
緒方 「イチャイチャしないの〜」
ベッドの下から出てくる先生。
隼人 「邪魔すんな!!」
怒鳴る隼人。
緒方 「先生も学生の頃はいろんな子とイチャイチャして遊んだり…じゃなくて隣の病室306号室に新しく入院する子を紹介しに来たんだ」
姫歌 「初めまして。隣の病室に新しく入院する事になった姫歌です」
その子は天使のような可愛い笑顔を見せたー…。