私たちは、幼いながらも、多分愛し合っていたんだと思う。だから本当は、元気なまま、キョウと会っていたかった。
彼方くんを亡くしているキョウだから、受け止めてくれるだろうという安心感。彼方くんを亡くしているキョウだから、傷つけるだろうという罪悪感。そんな相反する想いを私は抱えていた。
彼を悲しませることは目に見えているけど、私にはどうすることも出来ない。
「いつ死ぬか解らないんだけど、何か…。」
「ん?」
「何かね、もうすぐなんじゃないかと思うの。ここ最近、発作の回数増えてるし。どんどん体力が削がれていくのが分かるの。」
「そう。」
伏目がちに隣のブランコに座る彼に、愛しさを感じていた。それでも私の口は、傷つける言葉を吐き出すことしか出来なかった。
「もうすぐ、サヨナラかもね。」
「じゃあ、記念に何かしようか!」
さっきの顔が、嘘みたいに。
弾けるような、楽しそうな。
そんな笑顔で、こう言った。
「今度、夜にここに来よう?」
私は無意識に頷いた。