すると、アキへボールが飛んできた。「守り」と言われたのに、アキはそのボールを取れなかった。
「守り」って言われた事が知らなかったアキ。
「ねぇ、あんなボールも取れないの?」
みんなの口からそういう一言が発せられている。分かる。
『…。』
するとサユがこう一言。
「耳が聞こえないって、大変ねぇ〜。」
こういう時だけ、手話で伝えてくる。アキの心は大きく傷ついた。
「カズヒロに、助けてもらえば?」
すると仲間の人も、
「そうだ、アキちゃんさー。カズヒロと付き合っているっていうか、いつも助けてもらってるよね。」
「カズヒロくんは、クラス1番のイケメンっていうか…、だからあんたみたいな障害者と付き合ってるのムカつく。」
また、別のいじめが始まった。
陰湿度は、より増して。
2の1、教室。
「おいアキ。1時間目なんだっけ?」
『英語だよ。カズヒロは移動教室じゃない?』
「そうだった。俺移動だ!」
カズヒロはせかせか教室を出ていった。
するとユウタが、
「アキちゃん。」
アキは、ユウタとあまり話した事がないので動揺した。
「話したい事があるから…昼休み、えーと…食堂に来てくれ。」
『…。』
「…伝わったかな?」
アキは頷いた。
「良かった。じゃあ、そういう事で宜しく。」
ユウタはそうしてカズヒロと同じく出ていった。