レクスがリアを離したのは、それからしばらくしてからだった。
突然何かと思い目を向けると、レクスはしれっとしていた。
こっちばかり振り回されて、困惑しているのが悔しくなってくる。
「何?」
レクスが少し眉を寄せて訪ねた。
「そんなに見つめて。そんなに俺のこと好き?」
「違う。誤解。」
「つれないなー。」
放されてすぐにレクスから一定の距離をとったリアは、更に距離をとろうとした。
「!?」
その距離が嫌な感じを運んだ。
「また、君はいなくなってしまうの?」
「また?」
レクスの瞳は少し寂しそうな陰を映していた。
「ああ、ほら3日前とか昨日とか。ホント逃げられてばっか……。――……。」
最後の方が扉の閉まる音で消える。
「さっき何て言ったの……?よ…く……聞こえ…なか……?」
「ルカ?」
(ああ、そうか。またあの光景。)
まだよく分かってないままそこにある光景を受け入れようとした。
それなのに。
「…い……。」
「え?」
以前はすごく幸せそうだった笑顔が、今は隠れて見えない。
どうしたのかとおもっていたら、
細い腕がいきなり伸びてきて……。