四月十日。春休み中は客が多くて仕事を覚える暇もないだろうから、といって部長がこの日から仕事に入るようにしてくれた。
面接の時にいた、部長、課長、主任以外の従業員に会うのは今日が初めてだ。渡されたオレンジ色の上着と、黒いハーフパンツに着替え、レーンの横を通りフロントへと向かった。
『おはようごさいます。』とりあえずフロントにいた女の人に挨拶した。
「おはようございます。えっと…」
『今日からここで働かせていただく事になりました、三谷汐音です。よろしくお願いします。』
「三谷さんね。溝上真由子です、よろしく。」