悪魔の天使 (23)

暁 沙那 2011-08-11投稿
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「何で泣くの?」
「…泣いて…んかっ……ない…痛っ…!」

途切れ途切れ言った言葉はリア本人でも分かってなかった。

ただ押さえつけられている手首が痛くて、自由な足だけでもがく。

「離し…!」

言い終わらないうちに体勢を変えられた。
手は掴まれたままだったが。

リアは手が痛くないことに少なからず安堵した。

だがそれも束の間の安堵だった。

後ろに回された手の方からちゃり、と聞こえる。

何かと思い後ろを振り向こうとすると、

「振り向いたらダメだよ?分かった?」

手に軽く口づけられた。

彼の顔が離れる気配がする。
リアは溜まっていた息を吐き出した。

そのすぐ後に体が重くなるのを感じて、レクスの方を向いた。

「…何を!?」
「ん?ああ、まだ動けるんだ。」

レクスがそう言うと手首に冷たいものが当たった。

それと同時に体からどっと力が抜けた感じがする。
座っているのも辛くてレクスに体を預けた。

羞恥に身体が熱くなるのを感じる。
疲労感に身体が重くなるのを感じる。

何も分からなくなって……。

意識が飛んだ。


真っ暗闇に包まれて。

誰かが優しく髪を撫でている気配がする。

手は温かくて大きくて。

安心感に包まれて

全てを委ねた。

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