帰宅。
明秀先輩のお陰で紫音に会えるかもしれない。
桜ノ牧も好きな人には弱かったな。
ベッドに横たわる。
紫音…。
癖っ毛の真っ黒な髪を嫌がっていた。
大きな眼。
それに比例した長いまつ毛。
ちょっと太い眉毛。
細身の身体。
ぎこちない作り笑顔。
『水城君──。』
紫音の甘い声を思い出しただけでにやける俺。
俺、本気で紫音が好きなんだな。
紫音が俺を好きじゃなくてもいい…。
ただ、紫音に好きだって言いたい。それだけだ。
紫音…。
紫音…。
紫音…。