年下の君へ

ふく 2011-08-12投稿
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君の爪を噛む癖が嫌い
私の名前を呼ぶときの甘えた声が嫌い
すぐに体を擦り寄せて来る所が嫌い

『私じゃなくても』
『もっと若い子と』
私の口癖になった
答えは決まってる
『そんなの嫌だよ』

守るとか守られるとか
面倒臭い
でもね
君といるとどうしても自分を崩せない
いつでも強くいないと
いつでも頼れる人にならないとって
肩の力を抜けずに生きている
君はそんな私の懸命な思いを分かってくれているのだろうか
疲れたわけじゃない
ただ私だって女だから
頼れる背中に寄り添って深呼吸をしてみたい
強い肩にそっと頭を乗せて目を閉じてみたい

少しずつ素っ気ない態度を取ったのは
君の甘えた声に耳を傾けなくなったのは
私無しでも生きて行ける強さを持って欲しかったから
私の変わり行く態度にすねて俯く君に手を伸ばさなかったのは
君が少しでも頼れる人になって欲しかったから

泣きそうな顔で爪を噛む姿を私はただ何もせずに見守った
『辛いよ』
そう言って私を見詰める
私だって辛い
突き放す時の葛藤は凄いのだから
どうしてだろう
私が泣き出してしまう
分からない
何が悲しいのか
そんな私を優しく君が抱き締める
いつも頑張ってきた
君を守ろうと
なのに今君が私の涙を守ろうとしてくれている
不思議な程力が抜けて君の背中に手を回す

最近君の嫌な所ばかり探した
探してはこれじゃ駄目だって思ったけど
何となくそれも駄目だって思う

君の好きな所
私を懸命に愛してくれる所
私は年上だから
それは私の言い訳に過ぎなかった
焦りと不安と
色んな思いが混合して君を責める事に走った

私の弱さを包んでくれた
初めて君が私より大きく見えた
君が弱かったんじゃない
私が弱さを見せなかったから
君が悪いんじゃない
私が本当の私を見せて来なかったから

君の腕の中で眠った
君は涙の訳は聞かなかった
冷たくした私を責めなかった

それでも思う
守るとか守られるとか
面倒臭い
だってそんなこと考える必要なんてないのだから
君が必要としてくれている時は私が
私が必要としている時には君が
それでいい
それがいい

ただ胸を張っては言えない
私が守るからって
だって私は君を守っていける程
守れる力を持っていないから

でも君がまだ私を愛してくれるなら
私は君の全てを
どんな癖も愛して行きたい

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