悪魔の天使 (25)

暁 沙那 2011-08-14投稿
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「え……?…契約?」

契約。

それは妖魔とそれを使う者、主との力の繋がり。

主は欲しいものを力によって手に入れる。
妖魔は主の血と力を手に入れる。

主は妖魔を契約によって縛る。
妖魔は契約によって主に縛られる。

契約の強さによっては逃れられるが、場合によっては……。

「逃げられない。」

トクン、と嫌な風に胸が脈打った。

「大丈夫。一番強い契約は出来ないから。」
「次に強いのなら、契約する妖魔の同意なしでも…」
「できるね?だからだよ?その契約したの。」

今までのと何一つ変わらない笑顔で話すレクス。

(何かむかつく……。)

少しいらっとしたが何とか押さえ込む。

「叔母様の差し金かなんかですか?」
「半分正解。」
「半分?」

リアがそう問うと急にレクスから今までの笑顔が消えた。

変わりに怪しげな笑みが宿った。

「これ以上は聞かないでね?」
「命令?」
「そう。命令。」

髪を一房掬い上げ口づけを落とす。

上目遣いに小さく言った。

「もう逆らえないし、逃げられない。」

そう言われた途端、胸が熱くなった。

怒りだ。

「――っによ!」

目の奥が熱い。

「私はあんたの奴隷になってあげるつもりなんてないんだから!!
だいたい何よ!?
勝手に契約なんてして、私のことは無視!?
やっぱあんたも他の奴らと一緒ね!
最っ低!」

つい今までの契約者のことを思い出した。

最初はニコニコして優しくしてくれた。
でもちょっと抵抗するとすぐに手のひらを返した。
暴力を振るうたり、嫌がることを無理矢理しようとしたり。
また彼もそうするのか。

否応なしに手が震える。

怒りと恐怖。

どうしようもなくてレクスを睨み上げた。

と、いきなり体が前に寄せられて……。

抱きしめられるかたちになる。

「ごめん……。」
「何を戯れ言を……!」
「恨むなら恨んでいいよ?君の許可なく勝手に契約して。」

リアからはレクスの顔は見えなかった。

でも本心から謝ってくれた気がして。

嬉しい反面、心には闇があった。

(やっぱりまだ駄目だ。私はもっと……。)

彼に体を預け、そっと目を伏せた。



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