やだ…
行かないで…
あの子に会わないで…
置いていかないで…
隼人……
いつの間にか空は曇り空。
私は1人で誰もいない家に帰ることにした。
桜 「雨…降りそうだな…」隼人は今頃姫歌ちゃんに会ってるのかな?
今こうしてる間にも二人の距離は縮んでるんだ…
私、何考えてんの…
こんなんじゃ隼人を疑ってるみたいじゃん…。
そして私が路地に通りかかったころ、空から大粒の雨が降ってきた。
桜 「ついに降ってきちゃった…」
雨粒が私の頬を冷たく伝う。
私は早く帰ろうと足を早めた時、横の狭い道から誰かが出てきた。
そして私はその人に思いっきりぶつかった。
桜 「痛た…ごめんなさい…」
? 「ぬおっ!びっくりした!こっちこそごめんな」その人はビニール傘をさしていてヘアピンをクロスさせそれで前髪をとめている男の子だった。
? 「ねぇ君、傘は?」
桜 「…」
? 「お〜い」
桜 「…うぅ…ひっく…ふっ…」
? 「ななな…なんで泣いてんの!? もしかしてさっきので骨が折れちゃったとか!?」
桜 「わかんないん…です…なんで泣いてんのか…」そしてこの涙の意味も…
? 「寂しいの?」
桜 「え…?」
? 「今、自分の大切な人が誰かに取られてるのが悔しくて寂しいんだろ?」なんでその人…わかんの?
隼人が姫歌ちゃんに取られてることが…
? 「寂しい時は誰かに甘えてもいいんじゃないかな?」
桜 「……んで私が今…寂しがってるって思ったんですか…?」
? 「俺もそんな体験したからな。小3の時に」
親指をグッと立ててニカッと笑いながら言う。
桜 「小3で付き合ってたんですか?」
? 「まぁな」
桜 「付き合うの早いですね」
? 「俺、モテんだぜ?今まで10人以上の子と付き合ってるんだらな?」
桜 「すごいですね」
?「だろ〜! だからお前も寂しい時は誰かに甘えてみたら?」
その人は私の腰に手をまわした。
私はそれに甘えるように彼の胸に顔を埋めた。
こんなことはしちゃダメ……。
頭の中で誰かが囁く。
そんなのわかってるよ。
でも少しだけ…
少しだけ許してくださいー…。