「友人である、あなた達に、こんなこと言うのは、どうかと思うんだけど…」
義則は、少し言いにくそうな表情をした
それを察して、えり子は義則に首を振った。
「構いませんよ。正直に言ってもらっても。美和の歌を聞いての正直な感想ですよね?」
「ええ…」
「なら、なおさらですよ。美和もきっと、聞きたいと思いますよ」
「そうですか…それなら。俺としては、彼女が…美和さんが、心から笑って、楽しい曲を歌えてないんじゃないっかって思えたんですよ。別れの曲や、悲しい曲も、確かに歌声に引きつけられたんですよね…でも、なんとなく、なんとなくですよ…そう思えたんです」
えり子も、由美も驚いた。
それは、2人も学生時代から、心のどこかで感じていたことだからだ。
哲次が質問をした。
「あのさ…2人に聞きたいんだけど…」
「はい?」
「彼女…美和さんは、普段どんな人なのかな?」
「普段…ですか?どちらかと言えば、おとなしいかもしれません。騒いだり、むきになったりとかはしないし…冷静かな…。」
「そうだね…。あまり感情を出さないかもしれない」
「そっか…。俺達も、さっき彼女の応対を見たけど、確かに冷静だし、淡々とこなしてたかなあ…」
「そうかもしれません…きっと、美和は冷静すぎるかもしれません。友達の私達にも、弱い部分なんて見せたことないから…」
「それだよきっと」
「えっ?」
「俺と剛と義は、付き合い長いけど、本当はもっと、仲間がいたんだよね…でも、弱い部分を見せなかったり、本音を言ってくれなかったり、それで喧嘩になって納得出来なかった奴は、最終的には、どんどん離れていったんだよね。俺達は、喧嘩もしたし、周りも気にならないで本音をぶつけあって、結果的に残った3人なんだ」
「そうだな…お互いの欠点とか、悩みとか、どうでもいい下ネタとか、話すだけ話して、気づいたら最終電車逃してたなんてことあったっけ?(笑)」
剛行も、過去の思い出を話した。
「そんなこともあったな。ってゆうより、今もだけどね」
「今も?ですか」
「そう…それなりに恋愛もしたけどさ…結局、俺達的にまだ、本音でぶつかり合える女性との出会いがないのかもね…ってゆうか、単純にもてないだけだけどね(笑)…ごめんね。なんか、この席で真面目な話しをして」
義則は、すまなさそうか顔をした。
えり子と由美は、首を横に振った。