ここは戒たちのいた現実とは遠く離れた世界。
その世界は闇に閉ざされ、永遠の夜の世界となっている。
その世界の真ん中に大きな大きな西洋のお城が一つ。
そのお城の一部屋でメイドの姿をした女性が洋菓子とそれに合う紅茶を入れていた。
メイドはまだ若く20歳ぐらいであったが、それを感じさせないくらい落ち着き、紅茶を入れる仕草さえ優雅であると人に感じさせる。
メイドは紅茶を入れるとそれを主人のほうへと運ぶ。
その主人たる銀髪の少女はその身体に見合ったテーブルにつき読書をしながら待っていた。
ただし読んでいるのは今までの優雅な雰囲気をぶち壊しかねないジャン○なる週刊紙なのだが…。
メイドはその様子をいつものことと気に留める様子もなく主人のテーブルにお茶の準備をする。
「お嬢様。」
お茶の準備が終わるとメイドは主人に話しかけた。
「今回は随分とお嬢様らしからぬ行動でしたね。素敵でしたよ。」
ふふふとからかうように笑みを浮かべながらメイドは話した。
主人は不機嫌そうにそれに答える。
「ふん、からかうでない。わらわも柄にもないことをしたと思うとる。しかしじゃ、仕方なかろう。あやつがあの腑抜けのままこちらに来られても邪魔なだけじゃ。」
「ええ、そうですね。あのままこちらに来られても何の役にも立ちません。まさに動く粗大ゴミになるところでしたね。」
メイドは笑みの表情を全く崩さずさらりとひどいこと言った。
「まあ、あとはあやつがここに来るまで待つだけじゃ。ゲームでもしながら待つとするか。」
「お嬢様。ご一緒します。」
主人とメイドは部屋を出てまた別の部屋と入っていった。