Love song

玲唯 2011-08-19投稿
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07.


「ただいま」

「おかえり。……マコ。話があるんだけど」

「うん。何?」


 お母さんの後に続いてリビングに入ると、お母さんは静かにイスに座って、正面に座った私を見据えていた。


 そしてお母さんの口から出た言葉に、私は唖然とした。


「……転、校?」


 ピアノができる環境がもっと整った場所へ行った方がいい。


 今住んでいるところからは遠くなるから、引っ越しするとお母さんが言った。


「私……転校したくない」


 転校したら、リュウとミクちゃんと会えなくなる。


 それは絶対にいや。


「もう決めたの。これはマコのためなのよ。分かってちょうだい」

「でも……」

「お願いよ。マコ」


 私のため?


 何で転校しなきゃいけないの?
 今のままじゃだめなの?


 私はリュウとミクちゃんと一緒にいたいのに。


「荷物、まとめておいてちょうだいね」


 お母さんはそう言うと、立ち上がってキッチンの方へ向かった。


 転校。
 そんなのいやだ。


 急にリュウとミクちゃんの声が聞きたくなった。


 さっきまで一緒にいたのに。


 部屋に戻って、ミクちゃんに電話をしてみた。


 でもなかなか電話に出なくて、留守番電話になった。


 次にリュウにかけてみた。


 でもさっきと同じで、留守番電話につながった。


 2人とも、何してるの?


 気がつくと涙がこぼれてきてて、私はそれを拭った。


 それでも溢れてくる涙を、私は止めることはできなかった。



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