「それが出来たらいいんだけど、ユウタとの友情も壊したくないんだ。」
『そうか…そうだよね…。』
「中学からの友達でさ…一緒にサッカー頑張ってきたんだよね…。」
カズヒロの困っている姿を見ると、放っておけない…。
でもそれは、アキがいじめられている事実を、益々言いづらくさせていた。
「まぁいいや。俺はアキへの気持ちは変わってない。アキは安心してくれ。」
『…。』
何も返すことが出来ないアキ。自分に腹が立った。
そうしてカズヒロは、
「腹減ったし、行くか。」
と言い、アキと一緒に食堂へ向かった。
「何食べる?奢ってやる。」
カズヒロがそう言うので、アキは、
『カレー食べたい』と甘えた。
「了解。俺もカレーかな…。」
カズヒロもカレーを頼んだ。
適当に席を探して、座った。
アキへのいじめは、カズヒロといる時はやってこないので、そこもまたアキは嫌いなのだ。
「いただきます。」
『いただきます。』
2人きり…。2人きり…。2人きり…。
カズヒロの胸は高鳴った。
スプーンが小刻みに震えて、食器と合奏している。
『…大丈夫?震えてるけど。』
「おぅ。大丈夫。」
すると、そこに…。
サユが来た。