ディフェンド

 2011-08-19投稿
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16.


(この男は――)


――「お父さんとお母さん、死んじゃったよ?」


 6年前に現れた男の顔と、クロガネの顔が一致した瞬間だった。


 すると、体が一瞬にして熱くなるのを感じた。


 今、強い憎しみがケイゴを支配していた。


 *


 クロガネがモニターに現れてから、情報局はすぐさま動き出した。


 ハイトに事の全てを話し、他のリイバーたちに協力を依頼する。


 そしてそれが完了するまでに1時間とかかずに、ミッションが言い渡された。


「K843地点で他のリイバー2人と合流して、クロガネのもとに向かってくれ。僕たちは他に応援を呼んで後から向かう。出発は10分後だ」

「分かりました」


 ソウからミッションを聞いたレイは、自室に戻るため情報局から出ようと出口へ向かった。


 扉が開き情報局から出ると、そのすぐ横にケイゴがしゃがみ込んでいる姿があった。


 頭を下にさげ、その前で右手に拳を作りそれを左手で包んでいる。


 よく見ると拳は小刻みに震えていて、まるで怒りを表しているかのようだった。


「……ケイゴ」


 そんなケイゴをレイが静かに呼ぶと、ケイゴはゆっくりと頭を上げてレイを見た。


 そのケイゴの目つきに、レイの呼吸が一瞬止まった。


 殺意に満ちた、鋭い目つき。


 そんな目を見たのは初めてだった。


 しかしその表情は一変して、レイがよく知っているいつもの表情へと変わった。


「……レイか。何?」

「せ、先生からミッションが……出発、10分後って」


 レイは動揺を悟られまいといつも通りに振る舞おうとしたが、声は震え言葉は途切れ途切れで、明らかに動揺していることが見て取れる。


「ああ。分かった」


 ケイゴはそれだけ言うと、ゆっくり立ち上がって自室の方へ歩き出した。


 そんなケイゴの後ろ姿を見ながら、レイは短く息を吐き出して肩の力を下ろした。


 そしてレイは自室に戻るため、ケイゴとは逆の方へ歩き出した。




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