あなたに口づけをした
切な過ぎる程甘く
悲し過ぎる程優しい
独り占めしたい
あなたをこのまま
あなたが少しだけ笑う
月明かりにあなたの唇が綺麗に光る
『あなたの人生を僕にください』
あなたが静かに首を振る
苦しくてもどかしくて胸が引き裂かれてしまいそうで
あなたはいつも笑う
何かをごまかす様に
生温い感触
あなたの鼓動
息をする度に浮き上がる血管
僕の両手があなたの首筋にかかる
奪いはしない
あなたの命を
ただ僕だけのものにしたい
ずっと僕だけの
あなたが眉をひそめる
不思議そうに見詰める瞳
僕は想う
この顔も愛していると
あなたを作るもの
あなたが作るもの
全てを
冷たい手の平が僕の両手首を掴む
あなたが息を吐く
あまりにも弱々しく
あまりにも小さく
目を閉じる瞬間
唇がわずかに動いて
『殺してくれてもいい』
そう呟く
目尻を伝う一筋の涙
無償に自分に腹が立ち
無償にあなたが愛おしくて
あなたを強く抱き締めた
僕を許して
あなただけを追い求めて
あなたへの愛仕方を忘れた
あなたさえいなければ
こんなにも苦しまなくて良かった
そんな思いが溢れ出して突然あなたを消してしまいたくなる
誰かのものになる前に
そんな僕に涙を流すあなたを見て目を覚ます
僕は今何処にいるんだろう
あなたさえいれば
それで良かったのに
あなたから手を離す
狂い始める想いに終止符を打つ為に
あなたは僕の夢に過ぎなかったと
優しいあなたの視線
『悪く思った事一度もないよ』
胸を突き刺す言葉
狂っている僕を責めてくれてもいいのに
『あなたは私を愛してくれた』
次々に流れる涙にあなたの苦しみを知った
きっと僕の重過ぎる愛に堪えて
それでも僕に笑う
僕の首に両手をかけて
あまりにも優しく
あなたの腕を掴み力を込める
震えるあなたの腕
『あなたに殺されるなら本望です』
あなたから笑顔が消えて行く
『あなたを殺せる程、私はあなたを愛してはいない』
そっと手を解く
それがあなたからの最後の言葉だった