リアは部屋に戻ると図書室から移転させた本を出した。
別に盗んだ訳じゃない。
もともと家のものだし、ちゃんと貸し出し表にも書いておいた。
匿名希望って。
「……。」
リアはベッドに横になって本を開いた。
それを黙々と読む。
リアは小さい頃から学校に行っていない。
理由は叔母が許さなかったから。
それと、もう一つ。
それは学校側が断ったからだ。
それでもリアは魔法書を読み、独自で魔力を磨いた。
魔方陣に使う様々な多種類の文字。
呪文の読み方。
様々な魔術。
全て独学だ。
今でもそれは続いており、暇さえあればこうやって魔法書を読んでいる。
しばらくたってからリアは本を閉じた。
深く息を吐き、ころんと寝転がる。
そのままゆっくりと目を閉じ宙に陣を書いた。
「我を守りし魂達よ。その力を我に。」
そこまで言うと手から力を抜いた。
閉じた目の上に乗せたまま浅い眠りに付く。
リアは前にも感じたことがあるそれに、身を任せた。
温かい。
優しい。
落ち着く。
母の夢を見た。
あの日以来初めてだった。
母は今どこでどうしているのだろう。
リアは不思議な気持ちで目を覚ました。
もうあの優しさはどこかに行ってしまったのか、そこには
なかった。