悪魔の天使 (28)

暁 沙那 2011-08-20投稿
閲覧数[327] 良い投票[0] 悪い投票[0]

リアはどうでもいい日々を送っていた。

そんなある日。

「お前に仕事に行ってもらいたい。」

叔母からの突然の仕事。
リアはそれを断らなかった。

いや、断れなかった。

リアは哀しい笑顔を浮かべて、たった一言はい、と返事をした。



仕事。
それはリアの嫌いなこと。

仕事。
それは人間の所有物に成り下がること。

仕事。
辛いこと。

仕事。

(…嫌だ……!)



「旦那様、どうかなさいましたか?」

愛想笑いを浮かべるのは得意だった。

後で叔母や義母、義姉妹に何か言われるのが嫌だから。
相手の好みの女の演技さえしていれば、機嫌を損ねることはないだろう。

「リア、こちらへ。」

リアは肥満体型の中年の太った手を笑顔で取った。

それが相手の気に召したのか、リアの細い身体を抱き寄せる。

リアは少し目を細めたが相手には見えてなかったらしい。

そのまま自分の膝の上へリアを乗せた。

リアは少し笑みを困ったものに変えた。

「何も心配するな。悪いようにはしない。」

そう言うと相手の手が薄いシャツの方へ這ってきた。

流石にリアも笑みを消す。
顔を背け、体重を前へやって膝から降りようと試みる。

だが、相手の方が何倍も有利だった。

リアの身体が一瞬浮遊感に包まれる。
押し倒されたのだ。

リアはきつく目を閉じ、身体を強張らせた。
それでもしばらく何もなかったので、ゆっくりと目を開ける。

「何のつもりですか?変なことをするようでしたら叫びますよ?」
「誰も来やしないがね。」

そう言うと短いスカートが捲られた。
太股が露になる。

「――っ…やあ……!」

太股に太った手が当たる。

(魔法が出せない!?)

相手を何とかどけようとするが、全てが抑え込まれて力が出せない。

どうしようもなくて顔を背け涙を溜める。

(だから嫌だったのに……。)

涙が零れた。

「たす…けて……!」

知らず知らずのうちに助けを求めた。

「人のものに何してんの?」
「え……?」

…光が……眩しい……。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「暁 沙那」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ