「お〜い!羽琉ちゃん!」
聖は、大きく手を降る。
羽琉はニッコリと笑いながら聖に小走りで近づく。
羽琉と聖が出会ってから、3日が経った。
二人はいつもの丘で、今日あった出来事を話す。
「今日ね、看護師さんが重たそうに荷物を持っていたから手伝ったんだ。そしたら『ありがとう』って言われちゃった!」
聖は嬉しそうに笑う。
「そっか…。よかったね。」
羽琉も笑った。
「うん!羽琉ちゃんは?」
「私は…特に…。」
「学校は…?」
「一応、行ったよ…まあ友達もいないし、教室ではいつも一人だから…。」
「…いじめられてるの?」
聖は恐る恐る聞く。
「別にいじめられているわけじゃないんだけど…。相手にされないの…。」
「そっか…。」
「聖は、病院で友達いないの?」
「ん〜…いたけど皆、退院しちゃった。」
「ふぅん…。」
「じゃ、帰ろっか。」
「そうだね。」
「じゃあ、また明日。」
「うん。」
-次の日-
「…あれ…?まだ聖来てない…。」
(もう午前2時過ぎ…。)
「帰ろ…。」
その日、聖は丘に来なかった。
-その次の日-
「今日も…いない…。」
(変だ…二日も来ないなんて…。明日、聖の入院してる病院に行こう。)
-次の日-
「ここだよね…。」
「ふう…。」
羽琉は大きく深呼吸をした。
「……すみません…。」
小さな声で、看護師さんを呼び止めた。
「はい。何でしょうか?」
看護師さんは、くるっと振り向く。
「あの…大塚聖君のお見舞いに来たんですけど…病室が何処かわかりますか?」
「大塚聖君ですか…?えっと…確かA棟の202号室だと思いますが…。」
「そうですか…ありがとうございました。」
羽琉はペコッと頭を下げると、病室へ急いだ。