『生きる』ということ。<5>

黒魔法 天使 2011-08-22投稿
閲覧数[452] 良い投票[0] 悪い投票[0]

(A棟の202号室…)

「ここだ…」

「……」
そろりと中を覗いてみる。


「っ!!」

そこにはベットに寝たきりになっている聖がいた。

「聖!!」

羽琉は聖に駆け寄る。

「聖!聖ってばっ!!」

聖は何度呼ばれても、反応しなかった。


「あら…あなたは…?」

一人の看護師さんが羽琉に声を掛けた。

「聖は…聖は、どうしちゃったんですか!?」

羽琉は看護師さんに聞く。

「えっと…聖君のお友達かな…?」


羽琉は大きく頷く。

「ごめんね…。聖君、まだ意識が戻ってないの…。」

「え…!?」

「一昨日、急に容態が悪くなってね…ずっと寝たきりなの…。」

(一昨日って…聖が丘に来なかった日だ…)

「嘘……そんな…!」



「……また…明日も来るね…」

羽琉は病室を出た。






(私のせいだ……私が…私がもっとしっかりしてれば、聖は…)


-次の日-

「聖…来たよ…」

羽琉は聖に話し掛ける。

「聖…ごめんね…」

-ポロッ-

涙が静かにこぼれ落ちた。

「聖ぃ……」



「羽…琉…ちゃん…?」

「聖…!? 聖!!よかった…意識、戻ったんだね!! あ…看護師さん呼ばなきゃ…!」

羽琉が看護師を呼ぼうとした時、聖が羽琉の服の袖口を掴んだ。

「羽琉ちゃん…泣いてる…?」

「あ…ううん。何でもないよ…」

羽琉は慌てて涙を拭く。

「どうしたの…?悲しい事でもあったの…?」

聖が心配そうに聞く。


「あったよ…聖に会えなかった…!すっごく…すっごく寂しかったんだよ!?すっごく心配したんだよ…!?」

「ごめんね…。」

「え…なんで聖が謝んの!? 悪いのは私の方!」
「え…!?」

「私がしっかりしてれば…」

「違うよ…!羽琉ちゃんのせいじゃないよ。」

「…ねぇ…よくなったら、また丘で一緒に話そう?」

「うんっ!」

「ありがとう…」

羽琉の目から、優しい涙が流れていった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「黒魔法 天使」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
カラダがジューシーに☆
お風呂上りはコレ!


▲ページトップ